UX、AI、データ分析、メディアにおける業界最先端の技術力で
基礎技術開発から、応用展開、事業実践まで一貫して推進しています
代表取締役
President
前川 博俊
Hirotoshi Maegawa
情報処理学会、人工知能学会、ACM、IEEE各会員
IEEE Internet of Things Communityメンバー
Member of IPSJ, JSAI, ACM, and IEEE
Member of IEEE Internet of Things Community
2017.12.13
レゾネストは、(株)浜野製作所が提供するガレージスミダに所在します。
当社が創業して(2015.5.7)10日目にガレージスミダ設立1周年講演がありました。
講演者同士で隣席にいたのが、現(株)アドバンスト・キー・テクノロジー研究所を創業した阿久津伸さん。
https://www.akt-lab.jp/
トリリオンセンサ時代といわれ、多種多様なデバイスの開発が求められる、これからの時代にチャレンジする新進気鋭の研究者です。
「今までの結晶は坩堝で作っていたのですが、坩堝*1なしでできる製造方法を開発しました。とても安価に手軽にいろんな結晶を作ってみることができます。外に露出しているのでカメラで撮れます。装置の制御が要るのですが、画像認識してできるでしょうか?」(*1 とても高価で装置規模も大きい)
「それならできると思いますよ。」
—半年後—
「あれ作ってください。」「ハード込み○○円で。*2」(*2 自分から指定するのがスタートアップのコツです。)
「はい。。。」
—半年後—
強化学習*3を使って、観測した結晶成長の状態と、製造装置の操作とのフィードバック系を、動的に作っていく制御方法を開発しました。(*3 状態に習熟しながら安定させていく機械学習の方法)
阿久津さんの製造方法は、下に材料を置き、高温で融かし、上から種結晶を降ろして融液にくっつけ、材料の融けるのに従って引っ張り上げて、結晶を作っていくものです。サンプルが次にあります。https://www.akt-lab.jp/%E7%B5%90%E6%99%B6%E6%88%90%E9%95%B7%E5%8B%95%E7%94%BB/
融液は、表面張力で保っている不安定さがあり、上下で攪拌されて微妙に形が変わり、原材料や装置固体によって、また、成長に従って形が変わっていく性質があります。融液を壊さないように、材料と結晶の引き上げ、ランプ強度と照射量の制御をしないといけないのです。
流体をモデル化するのは、その複雑さから妥当ではありません。材料や機体、成長状態による変化も大きなものがあります。これから作るものなので、お手本事例を教師データとして学習することもできません。
融液の形状と、装置の制御状態とのフィードバックが、旨く循環するように、そのフィードバック系を学習して形成していく方法を採りました。
開発成果は、職業大フォーラムで報告しました。1)
——
その後、IoTの注目と展開に従って、少量多品種の新素材の開発の重要度が増してきています。
従来のように何度も試行しながら新材料を開発するのは、現実的ではなくなってきました。
阿久津さんの着眼で、結晶成長時の熱特性を解析することで、材料に応じた制御プロセスを知識ベース化できることが分かってきました。新たな結晶製造を効率化していくMaterials Informaticsの構想です。
長期的な応用となりますが、応用物理学会で報告しました。2)
文献
1) 阿久津伸、前川博俊、“大量センサー時代を実現する人工知能による新素材の開発”,第24回職業能力開発研究発表講演会,11-D-13,p.154-155,2016.
2) 前川博俊、阿久津伸、“新規結晶成長技術「AP法」における材料開発知識化の試み”,第64回応用物理学会春季学術講演会,15p-P6-1,p.13-157,2017.